FCM株式会社(以下PCM)は、高音質オーディオケーブルの銅素材として独自の連続鍛造伸延方法による、PC-Triple C(Pure Copper-Continuous Crystal Construction:連続結晶高純度無酸素銅)を開発致しました。これまで高音質オーディオ・ケーブルの銅素材として使われてきたPCOCCの代わりとなる新素材であると期待されております。
■製品企画意図
ピュアオーディオやホームシアターを中心とした音響・映像機器の高性能かの一要因は、信号伝送を担う銅素材の発展によるものと言っても過言では有りません。特に信号の流れを妨げる長手方向の結晶粒界を皆無とした一方向性単一結晶のPCOCCは、音響用ケーブルにとって欠かせない存在でした。
2013年3月、古河電気工業(株)(以下古河電工)がケーブル素材のPCOCCの製造・販売から撤退した事は、音響用ケーブル業界にとって大きな衝撃となりました。純度が6Nにまで上がっても、スムースな信号の伝送を妨げる結晶と結晶の間には結晶粒界が多く存在します。伝導率の向上(信号伝送)には、信号の流れを遮断する結晶粒界を極力少なくし、長手方向に結晶を連続化させる事が不可欠です。そこで、FCMでは長手方向に連続された結晶構造を有するPC-Triple Cを開発致しました。
■製品技術解説
PC-Triple Cは、古河電工が製造・販売している高純度無酸素銅(以下OFC)をFCM独自の鍛造方法で製造するものです。PC-Triple Cに使用するOFCは、通常のOFCから数ミクロン単位の極微の異物をさらに除去する古河電工が開発した高純度銅素材です。屈曲性や強度の高さからオーディオケーブルとして適しており、結晶粒界の不純物が極小であるため、微笑信号まで伝送が可能です。さらに、ケーブル用導体として極細線までの伸線が可能です。しかしながら、OFCはPCOCCのような単結晶素材ではなく結晶粒界を持つため、導通特性でPCOCCに及ばないのが唯一の欠点でした。
今回の開発の目的は、PCOCCを超える導通特性と音響特性を実現させること。さらには、PCOCCのような単結晶素材であっても導体内部に発生する信号を妨げる空礎を除去すること。そのため、FCMではPFCを一定の角度と方向を持たせ、素材の50%(Sq比)まで小圧力で数万回連続鍛造(定角連続移送鍛造法)する事で、縦方向に存在した結晶及び粒界を長手方向に連結された結晶構造へと変化されることに成功しました。さらに、鍛造することで導体内部の空礎を消滅させ、導通特性や音響特性を向上させます。
■伸線加工後の焼鈍処理
定角連増移送鍛造にて処理の後、さらに使用される所定の太さ(Sq)まで伸線加工され、それぞれの太さにあった温度と時間で焼鈍を行います。それにより結晶同士が癒着し、連続した結晶構造へと変化します。
■主な特性
線材(Φ1.3mm アニール材)
1. 純度(Purity)>99.996%
2. 導電率(EC)≒1.1.5IACS%
3. 抗張力(TS)≒250MPa
4. 伸び(E)≒35%
■主な用途
AV用途の各種ケーブル。機器用な部配線材。スピーカー・ボイス・コイル、電源コードなど。
PC-Triple Cは
FCM株式会社及び株式会社プロモーションワークスの登録商標です。